年末年始に思う おいちゃんはあの世で高みの見物

年末年始に思う おいちゃんはあの世で高みの見物

 

今年の年末年始は家で過ごすことにしたのだが、母が来る。母は高齢者施設に入居しているからこれは、外泊と言うものだろう。

「年越しそばは持って行くわ。おいしいのを見つけたの」

「そうなの?よろしく」

 

駅に着いたという母を迎えに待ち合わせ場所に向かった。しかし、待ち合わせ場所に母の姿がない!

こんな時、携帯は便利。

「もしもし、お母さん?どこにいるのよ?ユニクロの前で待ってるように言ったじゃない」

「ユニクロの前にいるよ」

「本当に○○駅?」

「うん、○○駅」

何が見えるか言ってもらって、見当をつけて場所を移動。すると、いた。小柄な婆さん。ユニクロとは全く関係のない駅ビルの前だ。

「ここはユニクロじゃないでしょ!」

ともあれ、無事落ち合えてよかった。

 

家に着くと母は、お土産を一つ一つ出した。

「これは私が作ったなます、これはおせち用…」

よくこれほど、と思うくらいたくさんのお土産が出てきたが、肝心のものが出て来ない。そう、年越しそば。

「年越しそばは?」

「あっ、忘れた」

「そんなことだと思った」

 

おいちゃんがいたときは年末年始はどうしていただろう。家で過ごしたのは2回くらいしか記憶がない。どうして家で過ごすことにしたのか、それも覚えていない。しかし、2回とも、家でのんびり過ごして、スーパー銭湯に行った記憶がある。

その他の年は、旅行に行ったこともあったが、たいていは私とおいちゃん、双方の実家を泊まり歩いていた。どちらも割と近くだったので、行き来は楽だった。

 

そのうちにおいちゃんの両親が老人施設に入居するようになった。しばらく私の実家だけに行っていた。しかし、母もついに老人施設に入居の運びとなって、帰るところがなくなった。そして今では、母が私の家に来るようになった。

一泊と言っていたのに滞在はどんどん伸びて行った。

「もう一泊していいかしら?」

「いいよ」

「もっといていいかしら?」

「…いいよ」

母は結局、うちに4泊して、また入居先の施設に戻って行った。

私に何の相談もなく、自分で決めてしまった入居先。交通も実家よりもずっと不便になってしまった。

 

「こんな所じゃ様子を見に行くのも大変じゃない!何で相談してくれなかったのよ!」

「来なくていいから大丈夫。何でも一人でできるから」

「お葬式はどうするの!自分でできないでしょう!」

「葬式も来なくていいから」

老人版「一人でできるもん!」の世界に、頭がクラクラした。

「そういう訳に行かないの」

「来なくていいの。何でもできるから」

「そう、何でもできるのね。それじゃ、確定申告は自分でしてよ!」

「それはしてくれなきゃ、困る」

まったく勝手なんだから。昔からそうだったけど、年を取ったらそれが余計に目立つようになった。

 

いつまで生きているかわからない。そう思うと、これも仕方ないと思っている。

そして、私も持病がある身なんだし、自分のしたいこともしたい。なんとか折り合いをつけて、楽しむことにしている。

 

おいちゃん、ずるいよ。さっさと先に逝って、高みの見物しているなんて。確定申告なんて、おいちゃんの仕事だろうが。