さくら葬祭の取り組み
2023.06.26
今回は、前回に引き続き、茶道とお葬式の繋がりについてお話をいたします。
茶道の精神は、実はお葬式会場の装花にも取り入れられているのです。白い花が多く使われている理由もお分かりいただけると思います。
利休の曾孫である江岑宗左(こうしんそうさ)が書き残した書物として知られる「江岑夏書(こうしんげがき)」に記されている話をご紹介します。主に、宗左の父宗旦から聞いた話として記録されている覚書ですが、そこに利休と白い花の逸話が残されています。
利休が茶室に海棠(かいどう)の花を入れた後、その花のそばに寄って「花は白いのが良い」といったのだそうです。
海棠の木はリンゴの仲間で、柔らかい花弁の優しい雰囲気の花をつけます。確かにとても素敵な花ですが、利休が白い花を好んだのは単なる好みではないでしょう。
茶室というところはとても狭く外光が制御されているため、薄暗い場所です。その中で鮮やかに浮かび上がる白い花にその瞬間の美しさを感じたからこそ、このような話が残っているのではないでしょうか。
茶道でお茶室の床の間に活ける花のことを茶花(ちゃばな)といいます。季節を表しつつ、その日のお茶会の趣向に合うものを選びます。茶室にあるお茶道具の中で、唯一「命」のあるものです。
花本来の姿を表現するため、美しく飾りつけるのではなく、花瓶にそっと活ける。自然の中で咲いているように入れておくのが原則です。そのため、活けるといわず「入れる」と表現するのも特徴のひとつです。
とはいえ、これは単に自然のままに花を活ければ良いということではありません。「花は野にあるように」という利休の言葉がありますが、茶花はお客様をおもてなしするもののひとつ。たった一輪の花であっても、自然の中で生きていた時の美しさや命の尊さを再現できるように活けることに意味があります。
その花の美しさを最大限に感じられるのが、薄暗い茶室の中で浮かび上がる「白」だったということだと思います。
茶の湯はわびとさびの精神を形にしたものであり、究極のもてなしの美学でもあります。贅沢に飾り付けるのではなく、一期一会の心を通わせる空間をどのようにして作り上げるのか、それこそがわび茶のおもてなしの心です。
その心は、たった一度きりのお葬式を作り上げていく葬儀社の仕事に通じるものがあると思います。
お葬式会場も煌々と照明で明るく照らすのではなく、少し暗めの照明になっている式場が多いです。その雰囲気は、まさに茶室の静けさに通じるものがあると思います。ですので、さくら葬祭でも白い花をおすすめしています。
実際、お葬式のパンフレットなどを見ますと、装花には白い花が使われていることが多いと思います。祭壇の白とも調和しますね。
お葬式で使う花の色はこれでなくてはいけないという決まりはないものの、薄暗い空間でも花を美しく際立たせる白という色、茶の湯の心を取り入れた白い花を飾ることをおすすめします。
葬儀についての資料を
ご送付いたします。