著書:わたしの葬式『心得手帳』
2019.12.12
今回は、「上質なサービス力の科学」7日間集中研修プログラム
4日目、「サービス力を高めるスキル」というテーマについてお話しします。
このブログ記事では、茶道をとおして上質なサービスを提供するために
さくら葬祭が継続的に行っている研修を公開していきます。
今回、第4日目研修を観終わった後は、サービス力において、必要な「スキル」、サービス力を高める「スキル」の向上にはメンターが重要である理由をご理解いただけるようになります。
さて、今回は最初に、サービス力を高める「スキル」について、茶道をとおしてお伝えします。
前回までのブログ記事ではサービス力を高める要素4つの内、品格とおもてなしについてお話ししてきました。
これらは理屈だけわかっていてもサービス力の向上にはつながりません。
では、品格とおもてなしの具体的なスキルとはどのようなことでしょう?
さくら葬祭女性スタッフの話を聞いてみました。
~ちょっと気の張ったパーティーに呼ばれた時のお話~
お友だちの誕生日パーティーですが、婚約披露もかねていて、お友だちの婚約者やその仲間の男性たち、さらには両者の仕事関係の方々もくるらしいのです。
頭の中はいろいろな考えがグルグルまわり、一向にしたくがはかどりません。
「さあ、いったい何を着ていけばいいのかしら?一応決めておいたけど、パーティーだからやっぱり地味かしら。花柄のワンピースの方が華やかだからいいかな。いや、彼のお友だちもくるから、ここはやはり女子力アピールで、こないだ買ったピンクのミニにしようっと」
ようやく服が決まり、時間ギリギリに会場到着。
品のいいこじんまりしたレストランを貸し切りにしたパーティーは、ビュッフェ形式。
真ん中に食事や飲み物が美しく並べられ、壁際にビロード張りのおしゃれな椅子が人数分と小さな○テーブルが並べられています。
「立ちっぱなしじゃなくてよかった」
胸をなでおろして、料理を取りに行ったそうです。
「どれもこれもおいしそう」と、ついお皿に目いっぱい盛ってしまいました。
さて、いただこうと椅子に座ると、立っていたときは何ともなかったのに、ミニスカートがグーッと上がって太もも丸出し状態になってしまったらしいのです。
「わ、まずい。持っているお皿で隠すしかないわ」
そこへお隣の空いている席へ、ちょっとステキな、同年代だけれど落ち着いた雰囲気の男性が来て
「ここ、空いていますか?」と尋ねるではないですか。
「どうぞ、空いていますよ」と答えたかったのはもちろんですが、この身動きとれない状態をとなりから見られるのは何としてもまずい・・・
「あ、あの、空いてはいるんですけど、私的にちょっと・・・」
「私的に???」
「いえ・・・」
男性は行ってしまったそうです。
今度は、できるだけ立っていようと頑張ったそうです。
しかし、まわりは皆さんシックで落ち着いた装いで、料理を取りに来たり、親しい人とお話ししたりする時以外座っていました。
一人だけ立って、しかも料理をムシャムシャ食べている雰囲気ではありませんでした。
時折、お友だちが「こちら○○さん」と言って、女性や男性を紹介してくれるのですが、挨拶するだけで精いっぱい。
会話が続きません。
ほんとにいったい何をしにいったんだか。
今日の主役のお友だちは、婚約もし、こんな素敵なパーティーまでしているというのに、
「その差はどこにあるのかしら。」
と女性スタッフから相談された事がありました。
「一座建立」でもお話ししましたが、どんな場合でも時間は厳守です。
早く着けば、それだけで気持ちにゆとりが出て、落ち着いた行動がとれます。
服装にもTPOがあります。自分がどのような立場にあるのか。和食か洋食か。
はたまたビュッフェか。そんなことを考えふさわしいものを着ていきます。
自分が心地よいだけでなく、相手にも不快な感じを与えないようにするのが良い身づくろいです。
レストランでも、立っている時、座っている時、人は横からうしろから見ているものです。
いつも美しい姿勢をとるように心がけるといいですね。
お化粧などこまかいところより、姿勢という全体像の方が、年齢、気持ちなどを表してしまいます。
初対面の方とのお話の仕方は、目上、同年代、年下、性別によって挨拶もその後の話の糸口も違ってきます。
最初は恥ずかしくてもセリフを覚えるように決まった言い回しを使ってみましょう。
お茶をやっていると、このようなことは稽古やお茶会にいく中で自然に身についてきます。
付け焼き刃の勉強はすぐにメッキがはがれてしまいますが、お茶をとおして身につけたスキルはどんなことがあってもなくすことはありません。
私は若いころ、わずかのあいだですが新潟に住んでいたことがあります。
新潟でもお茶の先生についたのですが・・・
大先生すぎて弟子が100人もいました。
先生はお年も召していたので、稽古のほとんどを一番弟子、二番弟子と呼ばれる方たちが見ていました。
ある日のこと、掛け軸を書いた人の名前を教えてくれたのですが、
「これは大徳寺の、『とうとう』の○○和尚です」と言ったのです。
京都にあるお茶ゆかりの大徳寺というお寺は20以上のお寺が集まってできていて、その総称を大徳寺と言います。
20以上の個々のお寺のことを「塔頭」というのです。
これは「たっちゅう」と読むのであって、「とうとう」ではありません。
まだ20代の私でしたが、「たっちゅう」は知っていました。
なぜかというと、師匠である婚約者から教わっていたからです。
何十年もお茶をやっている一番弟子なのに、こんな間違ったことをみんなに教えて、これは罪だと思いました。
お点前も???と感じることが多く、その都度、婚約者に電話して確認したものでした。
私は最初から本筋を教えてもらっていたから、違っていることに気付いたけれど、最初からあの人に教わっている人はどうなるのか空恐ろしい気持ちになったものです。
教わっている本人はわからないし、回りに言う人もいないのでなおさら始末に悪いです。
このように本筋を教えてくれる人は、そう多くはありません。
ただ、あなたがそのことを知らないと偽物を信じてしまう可能性があるのです。
どうぞ、サービス力を高めるために本筋を教えてくれるメンターをみきわめてください。
第2日目研修で「品格のある教養とは」でお話ししましたが、世にマナー教室、マナー講師は掃いて捨てるほどいます。
なぜ、そんなにたくさんの講座や講師が存在するのか・・・
理由は簡単です。
だれでも講師になれるからです。
名刺の渡し方、挨拶の仕方、上座の見分け方など、いずれもマニュアル化して、いかにも「即、使えます。」というような感じで宣伝しています。
確かにそのとおりのシチュエーションで、そのとおりに行うのであれば講師の言うとおりやっていればできるでしょう。
ところが、現実というのはそのとおり行かない方が99パーセントです。
こちらから名刺を出すはずが、相手から先に出されてしまった。
両手で受け取るはずが片手になってしまった。
和室に入ったら床の間などなく、いったいどこが上座だかわからない。
出入口付近に床の間があるが、そこが上座なのか。
などなど。
習ったとおりのシチュエーションでないと、とたんにわからなくなり、パニック状態になってしまう。
これでは、講座など受けなかった方がまだマシだったのではないか。
ということになるのは目に見えています。
なぜそのようなことになってしまうのかというと、マナー講座では、上っつらのことだけしか触れず、その本質を教えてくれないからです。
マナー、礼儀には必ず「こうこうこうだからこうなる」という筋道があるのです。
それも本筋でなくてはいけません。
サービス力を高めるためには品格のある教養が必要です。
知識、マナー・礼儀、言葉遣い。
これらを正しく身につけるためには、その本筋を教えてくれる先生がどうしても必要となってくるのです。
以上、今回は上質なサービス力を高める4つの要素のひとつ「スキル」について最も大切なポイントを凝縮してお伝えしました。
次回は、「サービス力を高める行動」というテーマについてお話しします。
葬儀についての資料を
ご送付いたします。