著書:わたしの葬式『心得手帳』

2020.01.02

上質なサービス力の科学 第5日目研修

上質なサービス力の科学 第5日目研修

今回は、「上質なサービス力の科学」7日間集中プログラム

5日目、「サービス力を高める行動」というテーマについてお話しします。

 

このブログ記事では、茶道をとおして上質なサービスを提供するために対象に、その具体的方法をさくら葬祭が継続的に行っている研修を公開していきます。

 

 

今回第5回目の記事を観終わった後は、サービス力に必要な「行動」、社会的ステータスが高い人の共通点、上質な人が集まる場に見合った自分になる方法をご理解いただけるようになります。

 

前回までの記事ではサービス力を高める要素4つの内、「品格」、「おもてなし」、「スキル」についてお伝えしてきました。

 

今回は最後の要素である、「行動」についてお伝えします。

 

今一度、サービス力=品格×おもてなし×スキル×行動である、ということを思い出してください。

 

さて、今回は最初に、社会的ステータスが高い人たちの共通点について、茶道をとおしてお伝えします。

 

社会的ステータスの高い人というのは、何か必ず自分自身の考えや行動の基準となるものを持っています。

 

私は茶道をとおして、たくさんの人たちと出会ってきました。

 

長くお茶を続けている人たちは、ほとんどがお茶以外の自分のお仕事や家庭での役割を持っています。

 

お茶が人生のすべてではないのです。

 

むしろ、自分の思い描いた人生を送るために、お茶をやっていると言った方が正しいでしょう。あるいは何気なく始めたお茶だけれど、気がついたら自分が考えてもいなかったようなポジションに立っていたという人もいます。

 

お茶で得た知識や動作を「自分の基準」として、社会生活を送る上でのすべてに生かしています。

 

どの方とも会えば親しくお話ししますが、その場を離れれば必要以上にベタベタするお付き合いはしません。

 

おつきあいの節度をわきまえています。

 

服装もブランド物など身につけている方はあまりいません。華美ではないけれど、その場にふさわしいその方に似合ったものを着ています。

 

お茶ではよく着物を着ますが、着物というのは値段とは関係なく、すべてに格があります。

普段は細かい柄の入った小紋(こもん)、ちょっとよそいきは一部に柄の入った付け下げ(つけさげ)、気張ったお出かけには全身に大きな柄が入っている訪問着、お招きする側やどれにしようか困ったときは、何も柄のない無地。そして、小紋以外は背中に家紋を一ついれておく。などなど。

 

面倒くさそうですが、このとおりにやっていればどこへ行くのにも何を着ていくのか困ることはありません。長年こんなことをしていると、たとえそれが洋服であっても、目的や自分の立場、季節によってふさわしいものを選ぶことができるようになるのです。

 

上質な人、社会的ステータスの高い人は、これまでお話ししてきた品格やおもてなし、スキルを身につけた人といえますね。

 

お茶を習い始めて、初めてのお茶会に行った時の緊張は今でも忘れません。茶室のどこにどのように座ってよいかもわからず、ただただ先輩のあとをくっついていくばかりでした。

どの人もみなとても偉く思えて、「こんな方たちに見合った自分になれるのはいつのことなのだろう」と思ったものでした。

 

今、考えてみれば私と同じように緊張しているひとはたくさんいたはずなのですが、まわりを見るゆとりさえありませんでした。

 

お茶以外でも社会に出れば、目上の方に接しなければならないこと、ご近所の方とうまくお付き合いしなければならないことなど、それまでとは違う人に出会う場面がでてきます。

 

挨拶はこちらからした方がいいのだろうか、手紙の書き方はどのようにするのだろうか・・・

私はいちいち師匠に尋ねていました。

 

しかし、師匠と連絡がとれない時もあります。

 

師匠に頼りっきりにはなれない状況になりました。

「どうしよう・・・」

 

ある時、お客様がお茶(普通のお茶)に呼んでくれました。

 

通されたお部屋は床の間のある和室。座卓の両側に座布団が敷かれています。

「どうぞ座って。お茶の用意してくるから」

 

「どこ座ればいいのだろう。座布団使ってもいいのだろうか。」心臓はバクバクしています。

 

「あ、お茶の時、床の間に近い方が正客(しょうきゃく・・・お客のリーダー)だった。

 

て、ことは私の立場ではそんなところに座ってはマズイ。床の間から遠い方に座ろう。

 

相手はお客様だから座布団を使うのもやめよう。」と座布団をはずし、床の間からは遠く入口に近いところに座りました。

 

お客様が戻ってきて

「あら~、近藤さんはこっちよ。座布団も遠慮しないで使って」

 

「いえいえ、とんでもない。私はこちらの席で。」

 

「近藤さんはお客様だから、上座なの。私はおもてなしする方だからこちらよ。床の間から遠い席は、たいてい出入口に近いの。お給仕しやすいでしょ。だから、さっ、行って」

と促され、気がつきました。

 

あ、遠慮で床の間から遠い席に座ったけれど、かえってそれはご亭主(もてなす人)の動線を悪くしてしまうものだったのだ。

 

所作や約束事はまず決められたとおりにやることが大切ですが、必ずその意味合いというものがあります。

 

品格やおもてなしのスキルを身につけていく上で大切なのは、その裏に隠されている意味合いを知るということです。それを理解してスキルを使うことができれば、ケースバイケース、どのような場に出ても、たとえ上質な人が集まっていようと臨機応変に振る舞うことができます。

 

以上、本日は上質なサービス力を高める4つの要素のひとつ「行動」について最も大切なポイントを凝縮してお伝えしました。

 

次回は、茶道をとおして得られるもの、「上質なサービス力と茶道のつながり」について、をお伝えして行きます。

 

 

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