納棺師が綴る『故人カルテ』

2016.05.21

故人のカルテ12 お身体の負担を考えたお棺の選び方 その①

故人のカルテ12 お身体の負担を考えたお棺の選び方 その①

おくりびとの想い~

 

やすらかに眠っている姿にしてあげたい。

いつもの体勢で、心地よくやすんでいただきたい。

 

 

今朝、田んぼに水がはられているところを目にしました。

南関東はこれから田植えシーズンを迎えます。

カエルの合唱が聞こえだすのもほどなくですね。

 

 

お身体をより良い状態でお守りするためには、ご納棺することが大切です。

 

長期安置とドライアイスの幻

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故人のカルテcase11 結露

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では、どの様な種類のお棺で、やすんでいただくのが良いのでしょうか。

 

 

今の世の中、様々なお棺があります。

 

彫刻があしらわれたもの、綺麗な布が張ってあるもの、宗教に合ったもの、環境に配慮した素材のも・・・。

 

日本では手に入りやすい木製がほとんどです。

土葬の時代より使われてきた素材です。

 

お棺は、その時代ごとの葬送の儀式に合ったスタイルに変遷しています。

 

現在は、火葬を行う技師の方々が安全に業務を行えるように、といった事まで考えられて作られています。

 

 

お棺は、大切な方々と最後を過ごすときの居場所です。

 

荼毘にふすための、一時的な、残らないものでもあります。

 

ご家族の好みで決めて問題ないと思います。

 

ただ、故人のお身体のご処置を行う私たちからすると、お棺は、「亡くなられた方のお身体を死後変化から守るもの」という認識です。

 

そういった側面も含めて、お棺の選び方をいくつかお話しさせていただきます。

 

 

ご葬儀の現場で使われる縮尺の単位は、「寸」「尺」「間」と、昔から変わりません。

 

お棺の場合、「6尺」(約182㎝)が基本となります。

(6尺、6.25尺、6.5尺、各幅広、 という区分があります)

 

大きい!と思われるかもしれませんが、これは全長です。

内寸ではありません。

 

装飾などのお棺の造りにもよりますが、重さに耐えられるよう厚みがあるため、実質175cm~178cmほどの内寸です。

 

それでも大きいですか?

 

横になってやすんでいるとします。

足先はどちらを向いていますか。

 

真上を向けている方は少ないでしょう。

 

拘縮(生前の硬直)や死後硬直によって、足首を伸ばしたまま動かないことも多々あります。

 

足のサイズを考慮すると、最低でも伸長+12cmの長さの内寸があるお棺が必要です。

 

 

また、眠る際、頭が壁に近いとどうでしょうか。

 

私は少なくとも5cmくらい壁から頭が離れていてほしいです。

欲を言えば、足先も壁に接触してほしくないです。

 

私は、身長が160cm 足サイズ23.5cmです。

 

160cm + 15cm + 5cm + 1cm = 181cm

(身長)+(足先追加分)+(壁~頭)+(壁~足)=(必要な内寸)

 

年齢を重ねて身長が低くなったとして・・・6.25尺を選びたいです。

(※入れないサイズではありません)

 

 

昔の日本人だと、6尺の大きさのお棺で十分な方が多かったはずです。

 

現代の日本人は、栄養の高い食生活になり、縦幅だけでなく、横幅についても大きいサイズが必要になる場合があります。

 

おやすみいただくところの好みも関係しますが、自然な姿勢で、安らかな眠りを考えると、その方にとって必要なお棺の大きさがあります。

 

 

葬儀社によっては、相談会で、「入棺体験」なるものを実施しております。

何のため?と思いますが、お棺の実物をよく見ることができる場です。

 

「亡くなられた方のお身体を死後変化から守るもの」として、ご覧になられるとまた違った見え方がするのではないでしょうか。

 

【故人のカルテ】 お棺を選ぶポイント

  • 体格から「必ず必要な大きさ」があり、身長とイコールではない
  • 費用と好みを考えて選んで問題はないが、宗教儀礼によっては、必要な構造や素材の指定がある
  • サイズについては葬儀担当者より、提案があるので、元気なうちは気にする問題ではない

 

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