納棺師が綴る『故人カルテ』
2016.06.16
おくりびとの想い~
やすらかに眠っている姿にしてさしあげたい。
お身体に負担なく無事に旅立っていただきたい。
昨日6月15日は、ジャイアンの誕生日だったそうですね。
川崎市の藤子・F・不二雄ミュージアムで誕生日イベントが開催されていることをラジオで知りました。
かわさき北部斎苑の帰りによく通過しておりますが、まだ遊びに行ったことがありません。
近いのに行かないのは良くないですね。
前回、お棺には様々な構造のものがあり、それぞれ必要な機能を備えていること、亡くなられた方のお身体の状態によっては、選ぶべきお棺があるというお話をいたしました。
故人のカルテ13 お身体の負担を考えたお棺の選び方その②
⇒http://sougi-sakura.com/blog/makeup/coffin_2/
「自分で棺を作ったらだめ?」
まれに聞かれることがあります。
日本は、火葬が世界一の高水準です。
イスラム教を信仰されている方など、火葬してはならない場合もありますが、各自治体の条例等により土葬は規制され、現在の日本の火葬率は99.9%です。
日本で入手できるお棺の多くが、火葬に適するように作られております。
「燃える」ということは、「酸素を消費する」ということです。
水分を多く含んだお身体は、燃えにくく、火葬に時間がかかります。
総重量60~150㎏にもなり、炉室内の酸素をゆっくりと消費しながらの火葬となります。
お棺は、長時間の間、火を維持できるように、ゆっくりと燃えるように作られています。
仮に、段ボールで手作りしたお棺にご納棺して火葬するとします。
炉室内の酸素を一気に消費してしまい、火が消えてしまいます。
(※流通している「環境に配慮した段ボール製のお棺」は、難燃加工を施してあります。)
「手作り骨壺」と違って、「手作りお棺」とはなかなか上手くいかないのです。
ただし、例外もあります。
日本では、手術で切断したお身体の一部であっても、火葬を必要とします。
ペットや亡くなってしまった胎児も、火葬が必要です。
そういった軽量なものについては、手作りのお棺で荼毘にふすことができます。
レースや写真等で装飾した、「ご家族からの最後の贈り物」を作ってさしあげられます。
その場合、お花や準備してあったお洋服を入れるスペースを考えて、お身体より少し大きめのお棺を作ってさしあげることをおすすめします。
注意事項としては、たくさん愛用品を入れることで、ご遺骨が消失してしまうことがあるということです。
入れたものを燃やしきるために火葬時間が長くなり、燃えないものを入れたために残留物の中から小さなご遺骨を探し出すのが困難になります。
一部の火葬場ですが、ご収骨の際、極細のピンセットを用意して、お骨上げのお手伝いができるよう配慮してくださるところもあります。
お棺は、やすらかに最後の時間を過ごしていただく居場所です。
死後変化からお身体を守ってくれるものでもあり、無事にご遺骨を連れて帰ることができるよう助けてくれます。
決して、単に燃やすものではありません。
【故人のカルテ】 お棺を選ぶポイント
葬儀についての資料を
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