納棺師が綴る『故人カルテ』
2016.02.23
おくりびとの想い~
やすらかに眠っている姿にしてあげたい。どこか微笑んでいるような姿に。
2月22日は、「にゃん・にゃん・にゃん」の日だそうですね。
さくら葬祭のネコたちは、存分に撫でさせてくれるのでとても癒されます。
しばしば、ペットを飼っていらっしゃるご遺族に、「故人を触らせても良いでしょうか?」と聞かれます。
「ご家族そろって最後の時間をお過ごしください」とお伝えしています。
家族の一員なのですから、ペットもご一緒すべきだと思います。
入院中なかなか逢えなくて、やっとご自宅に帰られたのであればなおさらです。
亡くなった方にご自宅で休んでいただくということは、亡くなってから生じるお体の変化を見る事であり、ご家族が亡くなったという事を実感させられる事でもあります。
どの生き物も「死」から逃れることはできません。
本能として理解するものでしょう。
当然、慈しむ気持ちも持っているはずです。
大切な人の死を受け入れる過程も、人間と同じように必要だと思います。
前回、前々回と2回にわたって、死後変化の中で現われる、
「人間の体のつくりから、口が開いてしまう3つのパターン」をお話ししています。
今回は、最後の3つ目をお話しいたします。
その③ 口を開けたまま亡くなった
呼吸が楽になるよう気道確保のため、顎を突き上げていたのではないでしょうか。
天井を見上げてみてください。
今、口が開いていませんか。
もしくは、口元に力を入れている感じがわかりますか。
顎を引いて休んでいただきます。
亡くなられた方にとって一番楽な姿勢でもあります。
ただ、長期間、上を見上げるように過ごして、体が固まってしまっている場合があります。
亡くなってからの体の硬直は動きますが、生前からの硬直は動かすことができません。
背中が曲がっているのを直せないのと同じです。
ご家族の強い希望であれば、皮膚を引っ張ってでも唇を合わせますが、その方の体の構造上の限界もあります。
よりやすらかにお休みいただくためにも、体に無理をさせないのも大切です。
【故人のカルテ】 処置のポイント
・枕の高さを合わせて、顎を引くように寝かせる
・ふくよかな人は、うっ血が生じるので注意する
・死後硬直が融解するタイミングで今一度体位を調節する
・口を閉じることで失う表情もあることをしっかりと説明する
葬儀についての資料を
ご送付いたします。