納棺師が綴る『故人カルテ』

2016.03.05

生きた『証』

おくりびとの想い

故人とのふれあいを安全に。頬やおでこをなでて、気持ちを伝えていただきたい。

 

長期の闘病や、年齢を重ねたことで、お体に様々な変化が生じます。

痩せたり、太ったり、肌の色が変わったり、髪が減ったり、背が低く見えたり・・・。

 

どれもその方が一生懸命に生きた証です。

頑張った証です。

 

亡くなられてからも、様々な変化がお体にあらわれます。

血液の流れがなくなることで生じる、体温の低下や色調の変化から始まって、

体内の化学物質や酵素による化学的変化。

細菌による微生物学的変化。

そして気温や湿度による環境的変化。

 

亡くなられた方は、ご自身でその変化に対抗することができません。

おやすみいただく環境とご葬儀までの期間に大きく左右されてしまいます。

全く変化が生じないことなどありません。

生前の変化よりも顕著に、スピーディーにあらわれます。

 

私たちは、死後変化がとにかく緩やかになるように、安全にふれていただけるようにご処置をしています。

 

ご葬儀当日、ご家族、ご親戚、ご友人と、生前と変わらぬ姿で最後のご挨拶ができるように、亡くなられた方にもう少しだけ頑張っていただくお手伝いをしています。

 

「少しでも長く一緒にいられるよう頑張ってくれたんだね。」

 

「私に逢うために、頑張ってくれたんだね。」

 

故人にかけてさしあげる、「ありがとう」と「お疲れさま」。

頬やおでこをなでていただくと、もうひとつの頑張った証に、そんな気持ちをお伝えできるのではないでしょうか。

 

 

Books

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