なずな日記
2018.09.24
朝食はトマトジュースと果物、そしてコーヒー。コーヒーは安い豆だけどちゃんとフィルターでドリップして作ります。
食事の支度ができたら、おいちゃんを起こしに行きます。お尻と足をグリグリマッサージして、おいちゃんを起こします。
おいちゃんがゴソゴソと布団から出てきました。テーブルに着くと、新聞を読みながらトマトジュースに手を伸ばします。
自宅が仕事場なので、朝はのんびりしたものですが、今日は顧問先に行く日です。いつもはTシャツとユニクロの部屋着でも、今日はスーツを着て大きなカバンを持って出かけます。玄関に向かうおいちゃんの後について、私も玄関に向かいます。
「帰りは夕方3時くらいかな」
「うん、行ってらっしゃい」
今日はおいちゃんの誕生日です。おいちゃんの好物と、そしてちょっと贅沢なものを作ろう。おいちゃんの好物と言っても、ビールはもとより、枝豆やピーナッツのような普通のものばかり。今日はステーキにでもしようかな。ワインもたまにはいいな。
いつものスーパーに行って、牛肉コーナーを覗くと、「30%オフ」のシールが貼られた牛肉パックが。今日食べるんだからこれで十分と、手を伸ばしました。
刺身はここじゃなくて、あっちの小さなスーパーの方が安くていいものがあるはず。
いつものようにおいちゃんと一緒に、フィットネスクラブに行って時間を示し合わせて帰ります。大体夏は7時半集合、冬は7時集合。その違いは日の長さによります。今はまだ夏時間。私はおいちゃんより30分早く家に戻って、あらかた整っている夕食を仕上げにかかりました。食器をテーブルにセッティングしたり、汁物や煮物を温めたり。しばらくするとおいちゃんが帰ってきます。
「今日はおいちゃんの誕生日だから、ちょっと贅沢にしたんだよ」
「なんだよ、お前の好きなものばかりじゃないか」
吹き出る汗をバスタオルで拭きながら、おいちゃんが席に着きます。
「それにこの歳じゃ、誕生日なんてめでたくもない」
「まあ、そうだけどさ」
ビールで乾杯して、料理を食べ始めます。刺身はいつも、アジやタコさしが多いけど、今日は中トロのマグロです。外食することを考えれば、これくらいの家での贅沢は安いものです。
料理を食べ終えたお皿を、流しに持って行きます。洗うのは明日にしよう。食器洗い機に任せればいいんだから。
おいちゃんにせがんで買ってもらった食器洗い機、食器の多いこんな日は特に便利です。
私が寝るとき、おいちゃんはピーナッツをつまみにまだ飲んでいます。
「先に寝るよ」
「うん」
おいちゃんのいた日々は、いつもこんなふうに一日が終わっていました。
今年もおいちゃんの誕生日がやってきました。この日にご馳走を作るのはおいちゃんの生前と一緒です。今日はミニステーキと、カツオの手こね寿司がメインです。サラダやステーキの付け合わせで、野菜をたくさん摂ります。デザートにはシュークリームを2個買いました。
テーブルの上にはいつも一枚の写真を置いています。親戚の集まりでホテルの朝食を食べているおいちゃんが、写真の中にいます。
おいちゃん、誕生日おめでとう。生きていれば62歳、あのときよりもっと白髪が増えたかな?今じゃ、私はおいちゃんより歳上になったよ。
亡くなったおいちゃんは、あの時から歳を取りません。生きている私だけが歳を取っていく。
歳を取るってやっぱりいいこと、おめでたいことです。
亡くなった子の歳を数えるというけれど、私も亡くなったおいちゃんの歳を数えています。
葬儀についての資料を
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