なずな日記
2018.11.13
11月は父の亡くなった月です。
10月の終わりに父からの留守電話が入っていました。
「お父さんだ。今から入院する」
結構しっかりした口調で、後から聞くと病院にも自分でタクシーを呼んで行ったそうです。しかし、本人も気づかぬうちに肺がんに侵されていて、もうこの時点では手術も抗がん剤もできない末期になっていました。
健康診断をしていなかったのかと言うと、そうではありません。9月に健康診断をして、「異常なし」のお墨付きをもらっていたのです。
それなのに、10月には末期…健康診断でわからなかったのかと思いましたが、癌細胞と正常な細胞は見分けが難しく、やむを得ないという意見も良く聞きます。事前に分かったとしても、86歳の高齢者に抗がん剤治療や手術を勧めるかといえば、普通に考えればNOでしょう。抗がん剤の副作用や、手術の侵襲を考えると、やった方がいいとは私には考えられないからです。
入院して8日で亡くなったことは以前ここにも書きましたが、言い方を変えれば最後まで元気だったということです。このこと自体はいいことだと思っています。
しかし、父も自分が死ぬとは全く考えていなかったようで、家の中は物があふれていました。年を重ねれば、荷物は多くなっていきます。通販で買ったであろう便利グッズのようなものが、そこかしこに置かれていました。大半は使っていなかったようです。
片付けは大変でした。
すべて自分たちでというのはなかなか難しいものがありました。父には悪いのですが、どうにもならないガラクタの山、一人の人間が何十年もかけて蓄積してきたガラクタです。ちょっとやそっとのガラクタではありません。私と妹の部屋には、それぞれの子供の頃の荷物もありましたので、父ばかりが悪いとは言えません。私達も自分のものは片づけるべきでした。
缶詰やレトルト食品などは、持って帰りましたが、父の漬けた大量の梅干しや、梅酒は持って行けるだけ持って、処分することになりました。作る人はわかると思うのですが、梅干しや梅酒って作るのは作っても、飲食するとは限りません。まだあるのに翌年もまた、作ってしまい、どんどん在庫が増えていく…
紙ごみは資源ごみの日に出し、自分たちの手で出来ることはしていきましたが、実家と今住んでいる家は電車で2時間近くかかる所だし、業者さんをお願いして、荷物を処分することになりました。
業者さんもかなり片づけに難航していましたが、さすがプロだけあって、一日で家の中はすっかり空になりました。
最近、よく断捨離と言う言葉を耳にしますが、いつ来るかわからない日のために、物を捨てることは大変重要なことだと思います。
享年86歳の父もまさかこんなに突然亡くなるとは思っていなかったようですが、人間、誰しもそんなものです。自分に死期がある程度分かるのは、癌で余命宣告を受けたような、ごく限られた人達だけです。
景品で貰ったアニメキャラクターのバッジ、いつか使うと思って取ってある某有名シューマイの醤油入れ、化粧品やシャンプーのサンプル。そんな小さなものが、じわじわと生活空間に忍び込み、気づいた時は占拠されていた…今の私の家がそうなりつつあります。いけないと思いつつ、片付けは後回しにしてしまいます。
なに、死んだときのことなんか知ったこっちゃない。我亡き後に洪水よ、来たれ!と、思っているあなた。見られて恥ずかしいもの、ありませんか?
「お父さんったら、こんなものを…」
「お母さんったら、人には厳しいことを言っておきながら…」
生きていれば勝手に見るのはプライバシーの侵害ですが、亡くなった後ではそうはいきません。
オール1の通知表。出そうと思って出さなかった若き日のラブレター。そして?
父の遺品にはちょっとありました。
「お父さんったら…」
そしておいちゃんは…
若くしての急死でしたので、何か出てくると期待(?)していましたが、見事に何もありませんでした。それはおいちゃんが用意周到だったから?それとも清廉潔白だったから?
私は後者と信じることにします。
葬儀についての資料を
ご送付いたします。