なずな日記
2018.12.13
おいちゃんの遺影は私のうちにありますが、おいちゃんのお父さんとお母さんの遺影は、おいちゃんの二人いるお姉さんのうち、上のお姉さんの家にあります。仲良く同じ祭壇にまつられているのですが、ある日、友達がそれを見て言ったそうです。
「なんだか釣り合いが取れていないわよ、この遺影」
つり合いが取れていないと言うのは遺影の見た目、年齢のようです。
一般に女性の方が7年くらい長生きします。そして夫婦は3つ前後、妻の方が年下の場合が多いようです。すると妻は夫より10年ほど一人で過ごすことになります。ここまでは誰でも気づくことなのですが…
遺影は、生前に本人が選んだものか、あるいは遺族が、故人らしいと思う写真を選びます。あまり若い頃のものでなく、自分たちが親しんだ顔、故人らしい笑顔の写真。そうなると、妻の方が年を取った遺影になってしまうこともあるでしょう。
友達はそのことを言ったようなのです。お姉さんは言いました。
「今までは気づかなかったけど、改めて人から言われると、お母さんの方が年取った写真なのよ。お父さんの方はまだ若いのに…」
「そうですね、そう言う意味ではお友達が言うように釣り合いが取れていないかも」
特に私のように死ぬには若い年齢で先立たれた場合は、それが顕著でしょう。まだ若いおいちゃんの写真の横に、おばあさんになった私の写真が置かれる。亡くなった後ではありますが、想像してみると、あまりぞっとしない光景です。私は、もうすでにおいちゃんの亡くなった年を超えてしまいました。これから撮る写真は確実においちゃんより老けているのです。
私はお姉さんに言いました。
「嫌だな~、おいちゃんより老けた遺影なんて」
「今から探しておきなさいよ。そう言えば旅行に行ったとき、プロに撮ってもらった写真があったじゃない。あれなんかどう?」
「あれはいいですね。やっぱりプロが撮ると、いい女っぷりが2割増しですもんね」
自分の方が年取った写真でも、そんなことは気にしない。やはり亡くなる前の自分らしい写真が一番だ。そう考える方もいらっしゃると思います。でも、女性としては、たとえ遺影でも、夫より若い自分を見て欲しいものではありませんか。
もし、家族が遺影を選ぶなら、そのようなことも踏まえて、選ぶのが故人にとってもうれしいことなのではないかと思います。
もちろん、一番いいのは、自分で気に入った写真を選んでおくことです。自分で選んだ遺影用写真は、遺族が他の写真を間違って遺影にしないように、今から額に入れて飾っておこうと思います。
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