なずな日記
2019.03.24
春の気配が濃くなって、普段通る道でも、足元を見ると緑が目立つようになりました。急に思い立って近所のハイキングコースを歩いてみました。
川沿いの道には木が植わっていて、それぞれに新芽を出したり、花をつけていたりします。今はミツマタの花が盛りですが、ソメイヨシノのつぼみが膨らんでいます。開花はもうすぐでしょう。
ここは神奈川の田舎だから、ちょっと歩くと野山があります。まだ枯草の方が多いけれど、緑の草も目立つようになりました。
フキノトウやつくしはすでに伸び切って、もうちょっと早く来ればよかったと悔やんでみもします。
ノビルがあちこちに生えています。枯れたところを取ったり、皮をむいたりする下ごしらえが面倒だけれど、これはネギに似た香りや味がして、ゆでて酢味噌で和えたり、炒めて食べるとおいしいのです。以前はよく食べました。もっと良く育ったら、また来て採って行こうかしら。
上を向くと、ヤブ椿が咲いています。アオキは赤くつややかな実をつけています。常緑樹は冬でも緑ですが、春になるとさらに緑が鮮やかになるように感じます。
ここら辺は杉も多いのです。私は花粉症なので困ったものですが、杉に罪はありません。マスクや帽子で防御しています。こうすれば日焼けも防げますから。
寒いのではないかと厚着をしてきましたが、うららかな日差しの下、体を動かしていると汗ばんでくるのがわかります。もう冬ではない、春なんだな。持っているタオルで汗をぬぐいます。
畑ではほうれん草や長ネギが旬のようです。さやえんどうの苗でしょうか、もうすぐ支えが必要になるくらいに伸びています。
こんな散歩を楽しんでいるのは、年配の人が多いようです。女性は二人以上でおしゃべりしながら歩いています。男性はなぜか一人でのんびり歩いている人が大半です。
私はおばさんですが、いつも一人で散歩します。いえ、本当は一人ではないのです。おいちゃんがいつも隣にいます。
ねえ、おいちゃん。おいちゃんは花粉症じゃないから、春は大好きだったよね。この季節と秋は海外に行くのはもったいないと言って、高尾山や近場の温泉地に行ったりしたね。
おいちゃん亡き後、温泉旅館に一人で泊まるのはちょっと敷居が高くなった。だから、こうして近くの野山を歩くことが多くなったよ。
おいちゃんと一緒だったら、ここに引っ越すこともなかっただろうね。おいちゃんがいれば、ずっとあの家に住んでいただろうね。
あの家は駅から近くて便利だったけど、それに比べると今の家は駅から遠くなった。でもね、ちょっと歩くとすぐこんな野山があるなんて、いいよね。自然と触れ合うって癒されることだよ。
一緒に居ると言っても、今のおいちゃんは姿が見えない。見えるおいちゃんと散歩をしたかったな。
さあ、帰ろうか。今もおいちゃんと一緒のはずなのだけれど…
エレベーターに乗ってから階段を上って、ドアを開けました。鍵を忘れずにかけてから、蛍光灯のスイッチを入れると…
おいちゃんがテーブルの上で微笑んでいるのが見えました。
葬儀についての資料を
ご送付いたします。