お伝えしたい『葬儀の知識』
2022.09.26
本日は、少しデリケートなお話しをしようと思います。
お葬式をするにあたり、私たち葬儀社はご遺体と向き合うことは避けて通れません。本当にお別れをするそのときまで、生前のお姿をできるだけとどめておきたい、そのような思いで真摯にご遺体に接しております。
しかしながら、医療従事者や介護士など、ご遺体を扱う専門家ではない人たちの処置によって、適切ではない状態になってしまうことが見受けられます。
餅は餅屋。ご遺体のことは、すべてを知り尽くした葬儀社に任せるべきであると思っています。
納棺師という仕事は、映画で注目されることになりましたが、どのような仕事なのかまだまだ知られていない部分が多いと思います。
人の体を扱う仕事という意味では、納棺師も医療従事者も同じですが、大きく違うのは、医療従事者は生きている体を診る仕事、納棺師はお亡くなりになった後の体をケアする仕事だということです。
納棺師の仕事は、亡くなった方のお体を適切に保全し、しかも、できる限り生前のお姿に近づけることです。美しく、なおかつ清潔に保存するというのは非常に難題ではありますが、それを感じさせないのがプロの仕事だと思います。
たまに、亡くなられた方に対して、介護を担当されていた方が余計な施しをしてしまうことがあります。たとえば、口や鼻の穴などにふくみ綿を入れてしまうことです。
中途半端な知識でご遺体に触れられてしまうと思わぬトラブルにつながります。ご遺体に直接触れる綿はなんでも良いわけではありません。
ふくみ綿はお顔を整える意味もありますから、水分を含まない綿を使います。それなのに、セミナーか何かで学んだのでしょうか、化学繊維の綿を入れてしまい、翌日肌が緑色になってしまうようなこともございます。過去に、そのような介護士がおりました。
何もせず、納棺師に任せていただければよかったのですが、化学繊維を入れたために一部が腐って変色してしまったということです。
実際に、お客様がクレームを入れてこられたことがあります。ご遺体にどういうお手当てをされたか伺うと、そのような適切でない処置が原因だったりします。
ご遺体に関する知識を深めていただくことはとても良いことですし、セミナーが悪いわけではありません。良かれと思ってやってくださっていることもわかります。しかし、知識が中途半端なまま、ご遺体に触れてほしくはありません。
ご自宅で亡くなられた場合、かかりつけ医を呼んで死亡診断書を書いてもらいます。その際、死亡診断書の横に死亡届がついていますので、こちらは同居の家族または親族が記入して、役所に提出します。
この死亡診断書について、「葬儀社がやってくれるよ」とアドバイスをするお医者さんがいます。たしかに、体が不自由で記入が難しいなどの事情があれば代筆することはありますが、本来の葬儀社の仕事ではありません。
大切な書類ですから、他人が軽く書いて良いものではないですが、ご家族としてみれば、医者や看護師が「葬儀社が書く」といえば、そういうものだと思うでしょう。
言われたことを信じただけなのに、葬儀社が書かないというと「話が違う」となってしまいます。しかし、死亡届というのものは本来書く人が決まっているものですし、状況によってこちらが書いてしまうとあとでトラブルになることもございます。
ですから、特別な事情がない限り、極力ご家族に書いてもらうものですし、万が一代筆を頼むとしても、葬儀社にリスクを負わせてはならないものだと考えます。
私たちが医療従者の方にお伝えしたいのは、ご自分たちの範疇ではないことを気軽に、あたかも専門家のようにご家族に伝えて欲しくないということです。
また、ご遺体の処置についても、その道の専門家ではないのに中途半端な知識で手を出して欲しくはありません。それでご遺体に何かあれば、そのクレームを一手に引き受けるのは葬儀社であるということを理解していただきたいのです。
亡くなるまでは、医者は看護師、介護の方はプロであったでしょう。しかし、亡くなられてからは、そうではありません。
亡くなられたお体をどう扱うかは、プロである葬儀社に任せてほしいと思います。
ご家族の方は、これまで診てくれていた医者を信頼していますし、お医者さんも良かれと思ってやってくれているのでしょう。
しかし、どのような状況でどのように亡くなられたのかによって、ご遺体の処置は変わってきます。その方に合わせた適切な処置をしなくてはならず、それが判断できるのはプロの納棺師なのです。
季節に合わせることも大切ですし、その状況によって変わってくることですから、私たちプロに託していただきたいと思います。
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